母乳は消化吸収しやすい
母乳は消化がいいといわれます。消化がいいということは二つの要因が考えられます。母乳そのものが赤ちゃんにとって消化吸収しやすいものだということと、赤ちゃんの腸内環境が整っていることです。母乳のたんぱく質や脂肪分は、消化能力が未熟な赤ちゃんにも容易に分解できる組織になっています。さらに、最初に出るおっぱいには脂肪分が少なく、飲んでいるうちにだんだん増えて濃くなっていくので、赤ちゃんが脂肪の取りすぎになりにくいといわれます。脂肪は赤ちゃんのエネルギー源です。
母乳の中には脂肪分解酵素のリパーゼも含まれているため、効率よく脂肪を分解してエネルギーに変えることができます。そして、母乳は赤ちゃんの成長段階に合わせて成分が変化していくので、そのときの赤ちゃんの消化能力に見合うものがお母さんのおっぱいから分泌されているのです。また、母乳に含まれる乳糖にはビフィズス菌を増やす働きがあります。そのため母乳で育てられている赤ちゃんの腸の中にはビフィズス菌が多く腸内環境が整っています。言い換えれば、母乳そのものを飲むことで赤ちゃんの消化能力が高まっていく循環が生まれていきます。
人間は哺乳動物です。その観点から見れば母乳は赤ちゃんにとっての絶対的な栄養源です。母乳が赤ちゃんにとってもっとも望ましい食物であることからしても、母乳が赤ちゃんの体内に効率よく取り込まれていくこと、すなわち消化吸収がいいことは自然の摂理なのです。