母乳を出やすくする

母乳育児を進めていく上で、母乳マッサージは欠かせません。生まれたばかりの赤ちゃんは、まだおっぱいを吸うことが上手ではありません。出産直後には、おっぱいからたくさんの母乳が出てくるわけではありません。ですから乳管を開き母乳が出てきやすくするマッサージをすることで、赤ちゃんにとっても母乳が飲みやすくなるのです。マッサージをしないままの硬いおっぱいで赤ちゃんに授乳することは、乳頭の亀裂を招きやすくお母さんにとっても望ましいことではありません。

 

乳管を開かせるためのマッサージは、乳房と同じ方向の手のひらで乳房を支えて、もう一方の手の親指と人差し指で乳頭と乳りんをつまみ、親指を動かして乳頭に刺激を与えます。乳房のマッサージは、乳房と反対側の手でつかむように手のひらを当て、もう一方の手を重ねて押します。両手で上や斜め上の方向に乳房全体を押し上げてマッサージをします。母乳がたくさん出てくるようになるまで、授乳のたびに軽くマッサージをしてください。指のすべりをよくするために、馬油などを使用してもいいでしょう。馬油は授乳の際ふき取らなくても、赤ちゃんが口に含んでも大丈夫です。

 

また、母乳マッサージを妊娠後期から始めておくと、スムーズに母乳育児を開始できるます。扁平乳頭や陥没乳頭は赤ちゃんが吸い付けないので、早めに引っ張るなどのケアを始めてください。ただし、乳腺を刺激することで早産を誘発してしまう危険を伴うので、必ず37週以降に行うようにしましょう。マッサージ中にお腹が張ってきたら速やかに中止してください。

母乳を出やすくするメニューを考えるとやはり和食となります。和食で主食といえばご飯です。ご飯は水分も多く消化もいいのでたくさん食べましょう。麦や粟などの雑穀も混ぜて炊くとより母乳はおいしくなるし栄養価も増します。野菜類は、根菜、淡色野菜、緑黄色野菜それぞれをバランスよく取り入れましょう。調理方法は、薄味の煮物や蒸し物、また、温かいものは血行が良くなって母乳を作るのに有効なので、味噌汁やスープなどには野菜をたっぷり入れてたくさん食べてください。

 

たんぱく質は白身魚や貝などの魚介類、豆腐などの、豆類から取ることを心がけてください。動物性たんぱく質は冷えると固まって乳腺を詰まらせてしまうので、どうしても食べたいときはささみやモモ肉などの脂肪分が少ない部位を選び、調理方法も油を極力使用せずに、たくさんの野菜と一緒に煮たり蒸したりして、油を落としてください。水煮にしてポン酢にねぎや生姜の薬味をたくさん入れると、とてもおいしくいただけます。海藻類はおいしい母乳を作るために欠かせないので積極的に取り入れてください。わかめは味噌汁を作るたびに、ひじきは煮つけや混ぜご飯に。もずくや茎わかめも食事の一品としていつでも使えるよう、常備しておくと便利です。

 

こうしてみると、和食という文化を持った日本に生まれてよかったと思いませんか?また、水分は母乳をおいしくするためには、絶対不可欠ですから、たっぷりととることを心がけなければなりません。カフェインが入っている紅茶やコーヒーは授乳中は極力避けましょう。母乳にカフェインが入ってしまうと赤ちゃんは興奮状態になってしまいます。常にカフェインが入ってくると、いらいらした精神状態が続いてしまいます。麦茶やほうじ茶、ハーブティー(母乳を減らしてしまうものもあるので、専門店で聞いてから買ってください)などがいいでしょう。また、レモンやゆずの皮を熱いお湯に入れて少量の砂糖を入れたものも、香りが高くおいしくいただけます。

母乳育児相談室は母乳育児にまつわるほとんどすべてのことに対応してくれます。桶谷式に基づき、母乳育児を進めていく上での実際の技術はもちろん、さまざまな悩みも受け止めて一緒に考えてくれます。赤ちゃんへの授乳が何のトラブルもなく順調に進んでいる人には、特に必要はないかも知れません。いろいろな理由から赤ちゃんに上手に母乳を飲ませられないお母さんが、それでも母乳で育てていきたいと願うときには、ぜひ尋ねてみてください。

 

母乳の量が少なくて赤ちゃんが満足しないときや、あるいは扁平乳頭や陥没乳頭であっても、または小さすぎる大きすぎるという場合も、桶谷式のマッサージを受けることで徐々に改善していきます。乳腺炎や乳房のしこりで授乳が痛くてできないときも、速やかにもとの健康な状況に戻れるようにマッサージを行ってくれます。また、母乳育児をしながら仕事に復帰したいお母さんや、貧血になってしまったけれど自然な食事で改善をしたいというお母さんも適切なアドバイスを受けることができるでしょう。同じ母乳育児のお母さん達が集まる母乳育児相談室に通うことで、悩みを共有したり毎日の孤独な育児から解放されて心が軽くなったりします。

 

赤ちゃんを産んだ病院や、身近な人から「母乳が出ない(出そうにない)おっぱい」といわれたお母さんは、想像するよりとても多いのです。それでも、母乳育児相談室を訪れて立派に母乳育児をしている人もたくさんいます。赤ちゃんを産んで3ヶ月、ほとんど出なくなってしまったおっぱいが、母乳だけで育てていけるほどに復活した例も珍しいことではありません。母乳育児相談室、今は必要ない、と思っている人も記憶の中にぜひ入れておいてください。

赤ちゃんを出産する病院を選ぶときに、母乳外来があるところを選ぶと母乳育児を進める上で大変力になってくれます。産前の母乳マッサージや栄養指導、出産後には初乳の授乳や豊かな母乳分泌のためのマッサージ、退院後に向けた母乳育児の指導を継続的に受けることができます。そして退院後も母乳育児にまつわるさまざまなお母さんの悩み事に向き合ってくれます。妊娠してから、出産、育児に至る長い期間のお付き合いになるので、困りごとや悩み事も相談しやすい地盤ができてきます。

 

病院の中にあることで、母乳外来だけではなく、婦人科、時には小児科なども一緒に見てもらえるメリットがあります。育児の真っ最中のお母さんに、心配事や不安は尽きません。かといってお母さんがいつも悩みを抱えていたら、きっと赤ちゃんも不安になってしまいます。自分の体のことも、産褥期には思いもよらないことがあるのです。赤ちゃんが風邪を引いたり、便秘や下痢をしたり、自分の体調が悪いときも、そんな不安解決と一緒に、母乳育児の問題も受け止めてもらえたらいいですね。

 

桶谷式のマッサージ技術を持った助産師を母乳外来に起用して、母乳育児を強力にバックアップしている産婦人科の病院もあります。お産をしていなくても、母乳外来だけ受診できるところもあります。母乳育児は、母乳が順調に出てこないお母さんにはつらいこともあります。けれど、必ずできると信じてあきらめずに、さまざまな機関を利用してみてください。