母乳育児の注意点

母乳を赤ちゃんにあげている間は、お母さんは特に毎日の食事に注意をしなければなりません。赤ちゃんにたくさんのおいしいお乳をあげるためのみならず、母乳はお母さんの血液から作られているので、バランスの良い食事を心がけていないとお母さんの体もあっという間に参ってしまうことがあります。良質な母乳のために望ましい食事はやはり和食です。和食にすると各種ビタミンやミネラルが自然に多品目取れるようになります。主食とし最も望ましいのはご飯で、水分が多く皮下脂肪になりにくい特性があります。おかずとしては野菜や小魚、海苔などの海草をバランスよく取り入れてください。

 

一つのものばかりをたくさん食べても、同じ栄養素を大量に取り入れることはできません。取り入れられない分は、尿の中に溶けて流れてしまうので無駄になってしまいます。また、旬のものは季節に合っているため農薬の使用量が少なく、栄養価も高いので、できるだけ取り入れていきましょう。そして、よく噛むことで唾液や消化酵素の分泌を促進して、効率よく各種の栄養を取り入れることができます。動物性たんぱく質や油や糖分(お菓子)は母乳がおいしくなくなってしまいます。動物性脂肪は、冷えると固まって乳腺を詰まらせてしまうことがあります。アレルギーを起こしやすい牛乳や卵にも注意が必要です。甘いケーキやお菓子はお母さんの楽しみのためにちょっぴりはいいとしても、大量に食べるのは厳禁です。

 

あとは水分をたっぷり取ることが大切です。乳腺の中をさらさらと流れる飲み易い母乳は、なんといってもたっぷりとした水分が決めてです。言わずもがなですが、アルコールはできるだけ我慢しましょうね。お酒臭い母乳がでてきてしまいますよ。どうしてもというときは授乳直後にちょっぴりだけ。分解されて血液の中に残らなくなる十分な時間(2時間以上)を空けてから授乳してください。

赤ちゃんがおっぱいをほしがったら、さあ、授乳の時間です。まず石鹸で手を洗いましょう。その後、おっぱいを温かいお絞りで拭き軽くマッサージをして赤ちゃんが飲みやすいコンディションに整えます。マッサージをしない硬いおっぱいのまま授乳を始めることは、赤ちゃんには飲みにくく、お母さんには乳頭の亀裂の危険がありお勧めできません。

 

片手で赤ちゃんの首を支えて、もう一方の手で乳頭を赤ちゃんの口に深く含ませます。生まれたばかりの赤ちゃんはとても小さいので、赤ちゃんの下に安定するクッションやバスタオルなどをおいて位置を少し高くしてあげると飲ませやすくなります。また、赤ちゃんの鼻が乳房でふさがれないように気をつけてください。片方ずつ、交互に、様子を見ながら30分くらいかけて飲ませてあげてください。母乳の出が良くなってくれば、自然に時間は短縮されていきます。飲ませ終わったら赤ちゃんを立て抱きにして、背中をぽんぽんと軽くたたいてゲップを出してあげてください。母乳が乳房に残っていたら搾乳しておっぱいを空にしてください。ガーゼなどで乳首を拭き、母乳パッドを当てておしまいです。

 

母乳をあげるときの抱き方は、赤ちゃんやお母さんによって違います。一般に、おっぱいが小さかったり、乳頭が陥没気味の人は立て抱きが飲ませやすく、乳頭が大きい人はわき抱きがいいと言われます。いろいろな抱き方を試して、その時々に一番いい姿勢をみつけてくださいね。

母乳はお母さんの血液から作られます。そして母乳が作られているのは、お母さんのおっぱいの中です。ですから、授乳中は決して胸を締め付けるようなきつい衣類を身につけず、授乳用ブラジャーなどでゆったりと支えてあげましょう。乳房の付け根を基底部といい、胸の肋骨の上に当たります。基底部を通って乳房に入ってきた血液は、たくさんの細かい血管になって流れ、乳腺(乳腺葉)の中で乳汁に作り変えられます。

 

もし胸を締め付けてしまうと、乳房の中の血流が悪くなります。乳腺を取り巻く細い血管の流れが滞ってしまうと、当然母乳が作られなくなってしまいます。そして新しい母乳が作られなければ、乳腺の中の母乳はどんどん古くなり、赤ちゃんが飲んでもまずくて飲めず母乳嫌いにしてしまう可能性もあります。特にワイヤーが入ったブラジャーなどは、ワイヤー部分がちょうど乳房の基底部に当たってしまいますから、授乳期間は避けてください。

 

また、授乳期間はお母さんの体が母乳を作ろうとしている時期ですから、締め付けて押さえつけることは自然に反することでもあります。母乳には鮮度があります。腐敗する、という意味ではありません。作りたての母乳はおいしくて、時間のたった母乳はまずいのです。母乳指導の中で自分の母乳をなめてみる体験をしたお母さんは多いと思います。確かに、おいしい母乳、まずい母乳はあります。おいしい母乳を作り続けるためにも、おっぱいの製造所である胸を締め付けないでください。胸の形の矯正はもう少し後からでも、十分間に合います。